大塀造の京町家
- KINOIESEVEN
- 3月25日
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京都御所の南、閑静な住宅街にある大塀造の京町家。大正15(1926)年の建築。門をくぐると、脇には供待や雪隠を設え、前庭を露地に見立てた数寄屋の意匠。モダンな切石の延段に歩を進めると、その先には玄関を兼ねた四畳半の茶室がお出迎え。坪庭を挟み、奥座敷は書院造。雪見障子越しに奥庭、その向こうには蔵の構え。栂普請かつ随所に見られる職人の技。素晴らしい建築です。


2階にある座敷にも上げてもらいました。ご主人が子供の頃は、特別な日に、特別な人しか入れなかったそうです。そこで珍しいタタミを拝見。『中継ぎ表』といって、一本もののイグサではなく、畳の真ん中で交差させて織り込んだ畳表のこと。古来よりの最高級品。イグサの品種改良が進んでいなかった時代、長いものは手に入れることができませんでした。本当に良質な部分だけを使おうとすると、畳半分くらいの長さになります。手織りの特殊な編み方で、現在この技術を持っている職人さんは、いないようです。良質なイグサと高い職人技術が必要。使用頻度の少なかった座敷ゆえに残った幻のタタミです。

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