以前に小学校で授業をやったことがあります。
森と環境保全というテーマですが
そこに、建築士として木を使う事を絡めて話して欲しいということで、45分間の小学五年生の授業です。
小学生に伝えたいことはなんだろう?
それは、森を守ることの大切さ
森を守ることで美しい風景を作ることだと思いました。
木材の自給率と言ってもピンと来ないだろうから、天然林とよく手入れされた人工林の写真を見てもらって、直感的に良い風景だと感じてもらうのが良いと思いました。
写真は北八ヶ岳の自然の森。
生物が多様に生存している美しい森です。
最初に自己紹介をして
ワンゲルで美しい森を見てきた事を伝えました。
そして、建築士として家づくりに関わるようになった話。
建築士とはどういう仕事なのか
小学生に伝えなくてはなりません。
それは、建築の設計をする人。
役割は、構造的に強い建物を作り、雨漏りしない使いやすいなどの機能性をもたせ、快適な場所を作ること、美しくかっこいい空間を作ることです。
そのなかで、私は、家の骨組みである木材に興味を持ったわけです。木材が生まれる森に興味を持っていたので、森林インストラクターの資格も取得しました。
木の家づくりを通して美しい森を作りたいとおもうようになったのです。
古来から、林業適地を探して人間は森と共存してきました。
人と共存してきた森の美しさは天然の森の美しさの反対ではありません。多様な生物が共存している森。それは、里山の風景でもあります。
多様性というキーワードが大切です。
針葉樹が悪いもの、広葉樹は良いもの、ではないのです。
生物多様性がある森が素晴らしいのです。
人が手を入れて、生物多様度の高い森を作ってきたのです。
色んな生き物がいて、支え合って生きているのが森なのです。
森と共存してきた私たちの生活が、いつしか森と切り離されたものになってしまったのです。
そして、森は荒廃してゆきました。
荒廃した森を蘇らせるためには
木を使うことが必要です。
木の使い方はいろいろありますが、木の家を作ること、木の建物を作ることがとても大きいことです。
私は1人の建築士として、森と共生する木の家を作りたいと考えています。小学生に私の言葉は伝わったでしょうか?
古川泰司(アトリエフルカワ一級建築士事務所)
初出 2015年3月25日 キノイエセブンFacebookページ
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