谷戸に位置する閑静な住宅地。土地購入の時点で古川さんに相談し、より風通しの良い区画を選ばれたそうです。訪れて最初に目にするのは、シルバーグレイに輝く木の外壁。厚さ15mmの信州産カラマツをドイツ下見貼り。築6年、当時は木肌の色だったのですが、このシルバーグレイになることを建主さんは待ち望んでいたそうです。
ご主人が出迎えてくれました。建設当時のことを懐かしみつつ、その様相の変化に会話が弾みます。
外構に敷かれた枕木。下段のフラットな部分は車の駐車スペース、枕木を円弧を描くように並べた階段を回り込み玄関へと向かいます。このとっても素敵な植栽、なんと全てご家族で設えたのだそうですよっ!
床は、杉の無垢フローリング、節が少なく良質なもの。階段は、源平が美しい杉の巾剥ぎ板。段板を化粧柱の背割れ部分に食い込ませるディテールが美しい。
1階に設けられた寝室の一角。手持ちだった家具の周りを、階段の段板と同じ杉の巾剥ぎ板で囲い、造作家具のような装いに見せています。その脇にはピアノ、ぴったりと納まるように設えられています。
2階に上がってリビングの様子。天井が高く、ロフトが面しています。対角線上に配置されたリビングとダイニングとの適度な距離感、キッチンとも横長のスリット開口で緩やかに繋がり、落ち着いた雰囲気となっています。
家の中心に据えられたキッチンは、コックピットのような存在。ダイニング⇒キッチン⇒廊下⇒洗面室がウォークスルーできる使い勝手の良い動線となっています。引戸を閉めれば、におい洩れを防げますし、来訪者にキッチンを覗かれることもありません。
浴室は、ハーフバスユニット。壁と天井には、水に強いヒバ材。開口部は木製建具とし、その向こうにはサンルーム。風通しが良いため、浴室はカビが生えることなく、美しさが保たれておりました。
先程のサンルームは、リビングと繋がっています。来客時には引戸で隠すことができ、開けておけば空間が広く感じられます。洗濯物がない時は、日向ぼっこできるスペースとしてマルチに活用しているそうです。
木の耐久性を向上させる風通し、空間に広がりをもたらす視線の抜け、上手く考えられた家事動線、そんな木の家を拝見させていただき、大変勉強になりました。Kさんご夫婦、ありがとうございました。
(設計:アトリエフルカワ・古川泰司/レポート:根來宏典建築研究所・根來宏典)
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