無垢材と集成材はどちらがいいのか?−1



木材というのは生き物で生命活動を営むために水分を内部にたくさん抱え込んでいますが、伐採されるとこの水分はどんどん抜けてゆきます。この乾燥の過程で木は収縮し変形してゆきます。収縮と変形の結果が反りと割れです。 今回から古川が2回に分けて集成材と無垢材はどちらがいいのかというテーマで書いてゆきたいと思います。 木材には収縮や変形がおきるのは常識です。その収縮や変形を前提として大工の技術は培われてきました。例えば、床だったら土台や梁がもし歪んでも根太のかけ方を調整して水平の床を作ります。柱が歪んでも胴縁を入れて調整して垂直な壁を作ります。この技術は水平と垂直を現場で作る大工の技術です。手間ひまのかかる技術です。 ところで、木材の乾燥技術が発達して以前のように大きな歪みが出にくくなり機械加工の技術も進歩して精度の高い木材加工が出来るようになりました。その結果、家づくりの技術も合理化の一歩を踏み出します。プレカットと呼ばれる工場加工の木材が現場に届けられるようになり、大工さんは届けられた部品を現場で組み立てることになり、今まで自分の手でやっていた骨組みの加工をすることがなくなりました。 また、骨組みの精度が上がったために、床はネダレス工法と呼ばれる厚板合板の直貼りで下地を作る方法に変わり、壁もプラスターボードの直貼りが行われるようになりました。根太も胴縁も省略した合理的な工法になってゆくのです。合理的とは手間のかかる下地工事が不要であるとうことで、工期の短縮が可能となり、それはすなわちコストを下げることになります。多くの工務店は、プレカットによるネダレス工法、プラスターボード直貼りという方法で住宅を作るようになりました。 しかし、実は、木材の乾燥方法が進化して歪みや反りが少なくなったとはいえ、完璧に歪まなくなたわけではありません。ですから、下地調整を省いてしまったがゆえに木材が少しでも歪むと表面の仕上げに現れてしまうことになるのです。 住宅を作る工務店としてはひとつの現場でもこのようなことが起こってはクレームも出るでしょうから対応も大変ですが、それよりも会社の評判さえ落とすことになりかねません。工務店は、できればリスク無しの方法はないものかと考えるようになります。 ところで、木材として流通しているものには、無垢材と集成材があります。無垢材は一本一本の木の個体差をそのまま引き継ぎます。そのために反りや歪みが起こるわけです。集成材とはラミナと呼ばれる小片に木材を加工してそれを接着剤で貼り合わせてつくります。ひとつひとつのラミナにすることで乾燥もしやすく、反りやすい部分を製造の過程で取り除くこともできます。ですから、無垢材の宿命である反りや割れはほとんど起こらなくなるのです。 無垢材のほうがなんとなく高級な感じがするとか、そう思われる方もいらっしゃるようですが、製造コストとしては集成材のほうが圧倒的にかかります。そのコスト差を帳消しにするくらいに、反りや歪みによるリスク回避は工務店にとって大きくなっているのだと思います。 工務店さんの本音としては、無垢材の良さも分かるけれども、できるだけリスクの少ない集成材にシフトしてゆきたいと考えているのだと思います。 アトリエフルカワ一級建築士事務所 古川泰司 (初出:2014年12月31日 キノイエセブンFacebookページ)



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