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時を編む住まい/マンションリノベ

更新日:2020年6月27日


小野育代さんが手掛けたマンションリノベーションを訪れてきました。 豊島区にある築20年のマンションの一室。広さは65㎡(20坪)。元はオーソドックスな3LDKの間取り。それをほぼスケルトンにし、書斎、書庫、ギャラリー、アトリエを満たしたご夫婦の住まい。


玄関を入ると、ギャラリーとして設えた廊下。間接照明の灯りが空間を優しく包み込みます。左右には豊富な収納。スライド式の扉を設けているのですが、全てを覆い隠すのではなく、オープンなスペースも設け、飾るものを適宜配置しながら楽しめるようになっています。また扉は、絵を嵌め込んだり、差し替えれるよう額縁になっておりました。


書斎の様子。ギャラリーと書斎は、透明の大きな引込戸で仕切ることが可能。収納棚が多く設えられ、パソコン、プリンター、裁断機、作業台など、それらの配置が綿密に計画されております。


本を沢山持っているオーナーさんの暮らしに合わせ、一室まるまるを書庫に。広さは7.5帖ほど。本棚は天井までと高く、豊富で圧巻の収蔵量。これは羨ましい限りです。


ギャラリーを抜けて、奥にはアトリエを兼ねたLDK。躯体のコンクリートを荒々しく露わし、黒い床、白い壁と天井で構成。窓には素敵なテキスタイル(布)が掛かっており、柔らかな光を取り込んでいます。芸術家のお宅らしい佇まいだと感じます。左手には寝室。白いボックスで仕切っているのですが、このボックスの足元にはキャスターが付いており、動かせるようになっております。アトリエの使い方に応じて、空間を変化させることができるのです。


アトリエから玄関側を見返した様子。右手のガラス扉の向こうが玄関ギャラリー。キッチン背後には家電キャビネットを設け、通路からの目隠しとしています。キャビネットの高さは、圧迫感が出ないように抑え、天井が繋がっているので空間が広く感じます。

キッチンは、強靭で清潔感を感じるオールステンレス。収納棚は造作で設えており、とても使いやすそう。寝室には造作の畳ベット。その下は収納。アトリエ側から見た白いボックスは、寝室から使えるクローゼット。欄間は空かせており、その欄間も建具で仕切ることが可能です。足元を照らす光、天井を照らす間接光が寝室を包み込み、光源が目に入らないので、空間に安らぎを感じますね。

全体的な印象としては、造作家具と建具工事が多く、その設えが秀逸。リノベーションのBeforeとAfterとの違いにオーナーさんは驚き、そして喜んだことでしょうし、設計者&大工さん冥利に尽きるお仕事だと思いました。


(設計:小野育代建築設計事務所・小野育代/レポート:根來宏典建築研究所・根來宏典)

photo by Ippei Shinzawa

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