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焼杉と勝手口とモミジ


焼杉の外壁が印象的な佇まい。木肌色の建具は、キッチン脇に設けた勝手口。駐車場に車を停めて、重い買い物を外から放りこめるように。また宅急便で届く重たい荷物は、こちらからでも受け取れるようにと奥さまの要望。つまり全体の配置計画として、勝手口が道路に面した目立つ位置にあります。勝手口は”開き戸”ではなく、使い勝手の良い”引戸”。ご近所さんからは「建具屋さんの手づくりなのが素敵!」と好評のようです。勝手口までの経路には、大谷石の飛石。唐草や水切りには、日本の伝統色である”錆青磁”。寂びつつもエッジを惹き立てることにより、建物の伸びやかな水平ラインを強調。大谷石とも調和しています。


玄関の位置は、道路からの引きを取り、奥まったところに配置。豆砂利洗い出しのアプローチを屈曲しながら、奥へ奥へと導かれます。連子格子の付いた窓の下場は、地面から1.9m(室内床から1.4m)の高さにあるのですが、プライバシーを守るとともに美観を考慮したもの。シンボルとなる植木は二本。一本は、奥さん好みのモミジの株立を勝手口の前に。もう一本の植木は、ご主人好みのアオハダの株立を玄関の前に。モミジの紅葉、アオハダの赤い実は、その季節になると黒い焼杉を背景に映えます。この二本の間を縫って玄関へと至る小路を演出。


根來宏典/根來宏典建築研究所

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